HOME >
 いつの間にか街全体が
 巨大な『個室』になっているのを知っていますか?
 特設案内
『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』
 LEARNING FROM AKIHABARA : The Birth of a Personapolis


装幀:鈴木成一デザイン室
 
森川嘉一郎著
 幻冬舎刊 ¥1,500
 四六判上製
 272ページ(内16カラー)

 ISBN 4-344-00287-3 C0095

秋葉原の急変を多角的に検証し、そこに立ち現れた、人格・趣味・場所の革新的な関係を追う、サイエンス・ノンフィクション。


「なぜ幼い女の子を描いたアニメの絵が、ここにはこんなに多いの?」

そうした光景を目の当たりにした欧米の学生たちが、真っ先に発する質問である。最初に聞かれたときには、説明に窮した。そもそもなぜ秋葉原にそうした絵を愛好する人たちが集中しているのか。この質問は、秋葉原で起こっている変化の本質に通ずる問いかけでもあるのだ。(略)

趣味が、都市を変える力を持ち始めたのである。

――序章より

東京のいま、についてのこの新しい解釈学的視点が、これまでの景観論、計画論、共同体論のすべてを、無効にしてしまうだろう。

―― 磯崎新

書評

画像アーカイヴ

■目次■

趣都への案内 (ビジュアル・オリエンテーション+英文シノプシス)

序章 萌える都市
  「萌える」ことを知る人、知らない人
  趣味を主張する言葉の発生
  パソコンと「萌え」との関係
  趣味の階層構造とオタク差別
  秋葉原へ

第1章 オタク街化する秋葉原
  家族連れの街からオタクの街へ:人格偏在のプロセス
  立体化される趣味嗜好:ガレージキットという商品
  「パソコン発祥の地」を塗り替えるオタク系専門店
  秋葉原へ向かう特需:エヴァンゲリオンが告げた福音
  建築化されるオタク趣味の構造
  アメリカが介在した秋葉原電気街の発生
  インターネットを模倣し始めた現実の場所
  個室が都市空間へと延長する

第2章 なぜパソコンマニアはアニメ絵の美少女を好むのか
                 ―オタク趣味の構造―

  ITとオタク産業の関係
  ソウルにおけるオタク系専門店の盛衰
  性的対象としてのアニメ絵
  ディズニーによるヨーロッパ童話の無菌化
  ディズニーへの性と暴力の注入
  手塚による「セル画肌」の発見
  コミックマーケットという前衛
  アメリカ文化としてのパソコン
  自衛隊とオタク

第3章 なぜ家電はキャラクター商品と交替したか
            ―〈未来〉の喪失が生んだ聖地―

 1.ラブコメ都市東京 ―マンガが描く現代の〈華の都〉
   都市とマンガの関係
   いくつかの〈東京〉を蘇生させる試み
   半径1kmの日常と化した東京
   ラブコメ都市東京
   イニシエーション都市東京
 2.万博が描いていた未来の建築デザイン
   モニュメントから装置化空間へ
   クリスタル・パレスをめぐる論争
   前衛の撤退
 3.サティアンという聖堂
   サティアンをめぐる言説
   サティアンのデザイン戦略
   オタクの空間感覚

第4章 なぜ《趣味》が都市を変える力になりつつあるのか
             ―技術の個人化が起こす革命―
 1.航空機デザインの考現学
  小学生の絵が施される200億円の機体
  日の丸に取って代わるミッキーマウス
  プロのデザインを圧す子供作品
  異形化する戦闘機
  超音速旅客機計画の失速
  SF映画の宇宙船のデザインにみる技術観の変化
 2.アマチュア・スターの出現 ―『月姫』と『ほしのこえ』にみる同人作品の台頭
  技術革新の必然か、英雄的な達成か
  同人作品の二次出版が一般書店に流通するという逆転
  非社会化を指向する技術観

第5章 趣都の誕生
  未来都市のモデルの変遷
  コマーシャリズムと共犯する建築家たち
  ジェンダーと都市
  「官」→「民」→「個」
  飛び火するオタク街化
  未来への遡行

あとがき  参考文献

 森川より

図版が200点以上あり、セルフDTPでつくったので大変でした。でもその甲斐あって、かなり思い通りの本にすることができました。書店で見かけたら、ぜひ手にとってパラパラとめくってみて下さい。
ちなみに上のリボンのキャラクターは、カバー素材用に私が描き起こすハメになったもの。この系統のキャラクターを描くのは初めてだったので、こちらも四苦八苦でした。

 ウェブ書店の『趣都の誕生』ページへのリンク

 HOME >