「ゲームとしての国家」
(1994年度卒業設計、学内最優秀賞受賞作)
「ディズニーランドとは実在するアメリカすべてが、ディズニーランドなんだということを隠すために、そこにある」とボードリヤールは指摘しているが、これはまさに今の日本の状況そのものである。都市風景のみならず、国家そのものがほとんどゲームと化している。
これは非常に不幸な状態であろう。あらゆるものが遊戯的になってしまった結果、真の遊びや創造が成立し得なくなっているからだ。ディズニーランドはもともと外の現実を忘れるためのおとぎの国として建てられたが、この計画はちょうどそのリバーサルであって、日本という国家の中に敢えて「ゲームとしての国家」という疑似国家を作ることによって、日本という国家そのものがゲーム化していることを隠蔽するための一種の都市装置として構想されている。こうした戦略のもとに、国家的な機能すらブラックホールのようにのみこんで並列的にゲームにしてしまうような建築空間の設計を試みた。
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